発酵霊芝のアレルギーに及ぼす効果について発表
日本薬学会 第142年会にて発表
株式会社ナガセビューティケァ(本社 東京都中央区、代表取締役社長 千葉敏英)は、独自に開発した食品素材:発酵霊芝(霊芝の自己消化物)にⅠ型アレルギーを抑制する効果を確認しました。この研究成果を、日本薬学会第142年会(オンライン開催@名古屋大学 2022年3月27日)において発表しました。
発表タイトル
発酵霊芝のⅠ型アレルギーに対する抑制効果とその関与成分の探索
【研究背景】
アレルギーは、花粉症、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの症状を引き起こす免疫の過剰な反応です。イムノグロブリンE (IgE) によって誘導されることを特徴とするⅠ型アレルギーは、花粉症などの身近なアレルギーに関わっており、注目されています。
霊芝は、中国最古の薬物書(神農本草経)に収載されている生薬であり、その利用には2000年以上の歴史があります。霊芝の代表的な成分として β-グルカンが有名であり、免疫調節作用が知られています。また、霊芝にはアレルギーに対する効果が知られておりますが、霊芝の成分と抗アレルギー効果の関係について明確にされていません。
私たちは、霊芝がもつ豊富な糖質関連酵素に着目し、霊芝の子実体を自己消化することにより調製した自己消化物(発酵霊芝)を開発し、その研究を進めています。この度、発酵霊芝にⅠ型アレルギーの抑制効果を確認し、その関与成分を見出しましたので、学会にて発表しました。
【学会発表内容】
発酵霊芝及び霊芝から熱水抽出物を調製し、ラット好塩基球様細胞株RBL2H3 の脱顆粒*1 に及ぼす影響を評価しました。抗ジニトロフェノール (DNP)-マウス IgE 抗体により RBL2H3 を感作しました。各種抽出物及び陽性対照としてウォルトマニン 5μM を添加後、抗原として DNP-ヒト血清アルブミンを添加して脱顆粒を誘導し、放出された β-ヘキソサミニダーゼを定量しました。
*1 好塩基球などの細胞表面に結合している IgE が抗原によって架橋され、ヒスタミンや β-ヘキソサミニダーゼ等の細胞内顆粒内容物が放出される現象。
発酵霊芝熱水抽出物は 100 μg/mL から濃度依存的に脱顆粒抑制活性を示し、霊芝熱水抽出物より高い抑制活性を示すことが認められました (図1)。
続いて、発酵霊芝熱水抽出物中の脱顆粒抑制効果を示す成分を明らかにするために、発酵霊芝熱水抽出物及び霊芝熱水抽出物から70 %エタノールを用いて多糖粗画分を得ました。ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分析した結果、発酵霊芝粗画分において6-22 kDa に相当する保持時間に低分子化多糖と考えられる成分の集積が認められました。そこで、各種カラムを用いて分画を行い、発酵霊芝多糖粗画分から低分子化β-D-グルカンを得ました (図2)。
低分子化β-D-グルカンの脱顆粒抑制活性を評価したところ、30 μg/mL 及び100 μg/mL に有意な脱顆粒抑制活性が確認されました(図3)。
【まとめ】
発酵霊芝熱水抽出物に霊芝熱水抽出物より高い脱顆粒抑制活性が確認されました。この作用には、発酵霊芝に含まれる低分子化β-D-グルカンの関与が考えられます。本検討により、霊芝を自己消化することにより、霊芝がもつアレルギー抑制活性をさらに高めることが期待されます。
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株式会社ナガセビューティケァ 広報担当 加納
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