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発酵紅参エキスの破骨細胞分化抑制作用について

サイエンス
2022.03.31

発酵紅参エキスの破骨細胞分化抑制作用について発表

第142回日本薬学会大会にて発表

 

株式会社ナガセビューティケァ(本社 東京都中央区、代表取締役社長 千葉敏英)は、発酵紅参エキスに破骨細胞の分化と過剰な活性化を抑制する作用を確認しました。この研究成果を、第142回日本薬学会大会(オンライン開催 2022年3月25日~28日)において発表を行いました。

 

発表タイトル

発酵紅参エキスの破骨細胞分化抑制作用

 

 

【研究背景】

 

骨は生体を支えるために重要な器官であり、骨を作る骨形成と骨を溶かす骨吸収が骨代謝のバランスをとっています。骨髄内の免疫細胞マクロファージは、TNFサイトカインファミリーであるReceptor activator of nuclear factor kappa-Β ligand(以下RANKL)刺激により骨吸収を行う破骨細胞(図1)へ分化することが知られています。加齢などにより、マクロファージの破骨細胞分化が過剰に促進され、骨吸収が過度に行われることで骨代謝のバランスが崩れてしまいます。自己免疫疾患である関節リウマチや骨粗鬆症では破骨細胞の骨吸収が過剰になることが知られています。このように、マクロファージの働きは骨代謝に関連があることがわかっています。

 

紅参(Red Ginseng)は高麗人参として知られるオタネニンジンを蒸して乾燥させたもので、蒸す工程を経ることでオタネニンジンの有効成分が変化するため、紅参特有の効果をもたらすことが知られています。私たちはこの紅参に着目し、紅参の機能性をより向上させるため、乳酸菌と多糖分解酵素を利用した新たな食品素材「発酵紅参エキス」を開発し、研究を推進しています。これまでに、発酵紅参エキスのマクロファージに対する免疫調節作用を第141回日本薬学会大会にて報告しました。今回、発酵紅参エキスにマクロファージの破骨細胞分化抑制作用が見いだされましたので、発表しました。

 

図1 破骨細胞の顕微鏡画像

 

【学会発表内容】

 

マウスマクロファージ様細胞RAW264.7の破骨細胞への分化に及ぼす発酵紅参エキスの作用を評価しました。RANKL刺激により破骨細胞へ分化を誘導している細胞に対し、発酵紅参エキス、及び未発酵の紅参エキスをそれぞれ添加しました。破骨細胞が特有に発現する酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(Tartrate-resistant acid phosphatase,以下TRAP)が高まると細胞が赤紫色に変化する試薬で染色したところ、紅参エキスを添加した細胞はRANKL刺激のみの細胞と同様に染色が観察されましたが、発酵紅参エキスを添加した細胞では染色強度が低い染色像が観察されました(図2)。

 

図2 発酵紅参エキスと紅参エキスのTRAP染色像

 

破骨細胞による骨吸収後に、骨基質を溶かした跡である「骨吸収窩」が形成されることがわかっています。蛍光標識したリン酸カルシウム(骨基質)上でRAW264.7を破骨細胞に分化させると、骨吸収により蛍光標識されたリン酸カルシウムが培養上清中へ放出されるため、培養上清の蛍光強度により骨吸収の活性が測定できます。また、細胞培養後、プレートを顕微鏡で観察すると骨吸収窩形成が観察できます。そこで骨吸収活性及び骨吸収窩形成に及ぼす発酵紅参エキスの影響を検討しました。発酵紅参エキスはRANKL刺激によって高められる骨吸収活性の抑制がみられました。また、RANKL刺激による骨吸収窩形成を抑制することが観察されました(図3)。

 

図3 発酵紅参エキスの骨吸収活性及び骨吸収窩形成に及ぼす作用

 

【まとめ】

 

発酵紅参エキスは紅参エキスよりもマクロファージの破骨細胞への分化を強く抑制し、破骨細胞の特有の働きである骨吸収を低下させました。本研究結果により、発酵紅参エキスは過剰に活発化するマクロファージの破骨細胞への分化を抑制し、骨代謝を改善することが期待されます。今後の製品の付加価値創造に貢献すべく、発酵紅参エキスの研究開発を推進してまいります。

 

 

 

<報道関係からのお問い合わせ先>

テレワーク実施に伴い、お問い合わせにつきましては、pr@nagase.co.jpまで
メールにてご連絡をいただきますよう、お願い申し上げます。

株式会社ナガセビューティケァ 広報担当 加納
HPアドレス https://nbc.jp

 

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