生薬の中でも言わずと知れた高麗人参は、「オタネニンジン」とも呼ばれ、野菜の人参とは全く異なる植物です。参鶏湯(サムゲタン)などの料理 にも利用され、よくご存知の方も多いと思います。
私たちは、このオタネニンジンの研究を重ね、発酵技術を利用して効果を高めた 発酵オタネニンジンを開発しました。
ここでは、その開発ストーリーを紹介します。
オタネニンジンは、古くから人々の健康を支えてきました。その効果は、よく知られた滋養強壮だけでなく、神経系や循環器系などの機能維持・改善に幅広く適用されています。オタネニンジンの多様な成分(多糖、アミノ酸、ペプチド、アルカロイド、テルペン類など)が、幅広い効果をもたらしています。
しかしながら、オタネニンジンの効果を実感できる人がいる一方で、実感できない人がいるのも事実です。
オタネニンジンの有効性に関する研究は、富山医科薬科大学(現富山大学)を中心とした国内外の研究グループにより精力的に行われ、以下の2点が明らかにされました。
① オタネニンジンの効果の一部は、腸内細菌によりその有効成分が代謝され、吸収活性型となって発揮される。
② 腸内細菌の個人差により、吸収活性型を産生できる人とできない人がいる。
さらに、日本人の70%はオタネニンジンの効果を得にくい(吸収活性型を産生できない)ことがわかりました。
そこでナガセは、より多くの人がオタネニンジンの効果を得られるようにするため、発酵オタネニンジンの研究開発に取り組みました。
私たちは、独自にキムチから分離した乳酸菌A221を利用してオタネニンジンを発酵することにより、予め有効成分を吸収活性型に変換させた発酵オタネニンジンの開発に成功しました。
原料には、オタネニンジンの有効成分(Rb1)の多いひげ根のみを使用しています。
独自乳酸菌A221による発酵 | 8年の歳月をかけてキムチから分離した乳酸菌A221は、高い吸収活性型M1(compound K)への変換能力を有します。 |
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オタネニンジンを丸ごと使用 | 抽出工程を通さないため、M1 (compound K)以外にも数多くの有効成分を含んでおり、オタネニンジンの総合的な効果が期待でます。 |
ひげ根を使用 | 原料には、有効成分(Rb1)の多いオタネニンジンのひげ根を使用しています。 |
安心の国内製造 | 国内発酵生産による、高品質を確立しています。 |
発表年 | 学会名・雑誌名(巻、頁) | 発表タイトル | プレスリリース |
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2007 | 日本睡眠学会第32回定期学術集会 | 「発酵オタネニンジンM1」の経口摂取による、ヒト睡眠におけるfirst-night effectの軽減 | 詳細を見る |
2008 | 第62回日本栄養・食糧学会 | ラットおよびマウス行動解析試験を用いたトリテルペン配糖体の抗うつ様活性評価 | |
2009 | Sleep. (32, 413-421) | Fermented ginseng improves the first - night effect in humans | |
2012 | 日本薬学会第132年会 | 発酵オタネ人参のアセトアミノフェン肝障害抑制メカニズムの解明と有効成分の探索 | 詳細を見る |
2012 | 第30回シクロデキストリンシンポジウム | 発酵オタネ人参成分M1 (compound K) /γ-シクロデキストリン複合体の調製とその溶解挙動 | |
2014 | 第68回日本栄養・食糧学会 | 発酵オタネ人参およびM1のGLP-1分泌促進作用 | 詳細を見る |
2014 | 日本生薬学会第61回年会 | 日本生薬学会第61回年会 発酵オタネニンジン成分M1に対するγ-シクロデキストリンの影響 | 詳細を見る |
2015 | J. Pharm. Pharmacol. (67, 565-572) | Hepatoprotective effect of fermented ginseng and its major constituent compound K in a rat model of paracetamol (acetaminophen)-induced liver injury. | |
2015 | 日本農芸化学会2015年度大会 | 人参サポニン代謝物M1によるGLP-1分泌促進作用 | 詳細を見る |
2015 | 第45回日本神経精神薬理学会 | 単独隔離飼育マウスのストレス性睡眠障害に対する発酵オタネ人参M1の効果 | |
2016 | J. Pharm. Pharmacol. (68, 646-654) | The formation of an inclusion complex between a metabolite of ginsenoside, compound K and γ-cyclodextrin and its dissolution characteristics | |
2016 | 第35回日本認知症学会 | アルツハイマー型認知症モデルの記憶障害及び不安に対する発酵オタネニンジンの効果 | 詳細を見る |
2016 | J. Med. Food. (19, 817-822) | Fermented ginseng contains an agonist of peroxisome proliferator activated receptors α and γ. | |
2017 | 第34回和漢医薬学会学術大会 | アルツハイマー型認知症モデルラットの海馬神経細胞死に対する発酵オタネニンジンの改善効果 | 詳細を見る |
2019 | 日本薬学会第139年会 | 一次知覚ニューロンに対する発酵・非発酵オタネニンジンの作用 |